薬物療法(化学療法)

薬物療法(化学療法)について

薬物療法は、抗がん薬、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬、ホルモン薬などの「薬」を用いて、がん細胞の増殖を抑えたり、制御したりすることを目指す治療法です。手術や放射線治療が「局所」に対する治療であるのに対し、薬物療法は血液を通じて全身をめぐるため、全身のどこかに潜んでいる可能性がある小さながん細胞に対しても効果が期待できるのが特徴です。当院では、多職種が連携し、患者さんの副作用管理や適切な治療の継続をサポートできるよう努めています。

外来化学療法室のご紹介

当院では、患者さんが日常生活や仕事を継続しながら治療を受けられるよう、通院による「外来化学療法」に力を入れています。

外来化学療法室では、リクライニングチェアやベッドを備え、周囲の環境に配慮した空間で治療を受けていただけます。常に専任の看護師が常駐し、点滴中の体調変化に対応できる体制を整えています。また、点滴中も読書やテレビ視聴など、患者さんのスタイルに合わせて穏やかに過ごしていただけるよう配慮しています。

薬物療法の種類

近年の医療の進歩により、がんの性質に合わせて使い分けることができる様々な種類の薬が登場しています。

細胞障害性抗がん薬

がん細胞の増殖の仕組みを阻害して攻撃する、従来からの抗がん薬です。活発に増殖する細胞に作用するため、正常な細胞(毛髪、消化管粘膜、血液細胞など)も影響を受けやすく、副作用への適切な対応が重要となります。

分子標的薬

がん細胞が持つ特定のタンパク質や遺伝子の変異をピンポイントで標的にして攻撃する薬です。特定のターゲットに作用するため、従来の抗がん薬とは異なる副作用が現れることがありますが、効率的にがん細胞の増殖を抑えることを目指します。

免疫チェックポイント阻害薬

がん細胞によって抑え込まれていた「自分自身の免疫の力」を再び活性化させ、免疫細胞ががん細胞を攻撃できるように助ける薬です。多くの疾患で使用されています。

ホルモン薬

ホルモンの働きを利用して増殖するがん細胞の成長を抑える薬です。すべてのがんに効果があるわけではなく、主に乳がんや前立腺がんなど、ホルモンの影響を受けるがんに用いられます。

副作用への対策(支持療法)

薬物療法において副作用を完全にゼロにすることは難しいですが、現代では副作用を予防したり、症状を軽くしたりする「支持療法」の開発が進んでいます。
当院では、吐き気止めや痛み止め、スキンケアなどを適切に組み合わせることで、できる限り普段通りの生活を維持しながら治療を続けられるようマネジメントを行っています。治療開始前には、現れる可能性がある副作用とその対処法について、医師をはじめ様々なスタッフから詳しく丁寧にご説明します。

薬剤師によるサポート

がん化学療法認定薬剤師を含む専門の薬剤師が、薬物療法の安全性を支えています。

処方内容の確認

投与される薬の種類、量、スケジュール(レジメン)が、患者さんの検査データや身体の状態に合っているかを、複数の薬剤師が多角的に確認します。

お薬の説明とカウンセリング

新しく治療を始める際や薬が変更になる際に、お薬の効果や注意点、副作用のセルフケアについて詳しくご説明します。診察前後の面談を通じて、患者さんの不安や疑問を解消できるよう努めています。

地域の調剤薬局との連携

患者さんがご自宅に戻られたあとの服用状況や体調変化の情報を、地域の保険薬局と共有する「薬薬連携」を推進し、地域全体で切れ目のないサポートを目指しています。

薬物療法に関するよくあるご質問

A. 以前は入院で行うことが一般的でしたが、現在は副作用を抑える薬の進化により、多くの治療が外来(通院)で行えるようになっています。初回のみ安全確認のために入院をお勧めする場合もありますが、2回目以降は外来化学療法室で日常生活を送りながら治療を継続することが可能です。

A. 使用する薬の種類によりますが、一般的には治療開始から2〜3週間後くらいから始まることが多いです。脱毛は多くの場合一時的なもので、治療が終了すれば再び生えてくることがほとんどです。当院ではウィッグ(かつら)の相談なども受け付けていますので、不安な方はお気軽にご相談ください。

A. 副作用によって味覚が変わったり、食欲が落ちたりすることがあります。「食べなければならない」と無理をするのではなく、食べられる時に、食べられるものを、少しずつ摂るようにしましょう。栄養士による食事指導も実施していますので、工夫の仕方などアドバイスを受けることもできます。ご希望の方は医師へお伝え下さい。