がんゲノム医療とは
患者さん一人ひとりの「がんの個性(遺伝子の変化)」を詳しく調べ、その方に最も適した治療薬や治療法を探すための新しい医療です。同じ部位のがんでも、患者さんによって効きやすい薬が異なることが分かってきています。がんゲノム医療は、これまでの標準治療を終えられた方にとって、新たな治療の選択肢(ご自身に合う薬)を見つける「手がかり」となる可能性があります。患者さんご本人はもちろん、ご家族にとっても今後の治療の道筋を考えるための大切な一歩となります。
当院の体制・連携拠点病院
いつもの病院で、高度な専門医療のサポートを
当院は2025年2月に国から「がんゲノム医療連携病院」の認定を受けました。これにより、がんゲノム医療の拠点である「埼玉県立がんセンター」の高度な解析や専門家チームの知見を活用しながら、患者さんやご家族は遠方の拠点病院へ何度も足を運ぶことなく、住み慣れた地域の「当院」で検査の説明から結果のお伝えまでを完結できるようになりました。通院の身体的・精神的な負担を減らし、安心して検査を受けていただける体制が整っています。
専門外来(腫瘍遺伝子外来)での丁寧なサポート
がんゲノム医療は難しい専門用語も多く、不安や疑問を抱えるご家族も少なくありません。当院では専用の「腫瘍遺伝子外来(現在の主治医からの紹介制)」を設け、専門の医師や看護師、薬剤師が時間をかけて丁寧にご説明します。検査を受けるべきかどうかの迷いから、結果を受けた後の治療選択の相談まで、患者さんとご家族の心に寄り添いながら一緒に考えていきます。
がん遺伝子パネル検査
がん遺伝子パネル検査とは、がん細胞の組織や血液を用いて、数十から数百の遺伝子を一度に調べる検査です。この検査により、がんの原因となっている遺伝子の変化を特定し、その変化に効果が期待できる薬剤(分子標的薬など)が存在するかどうかを調べます。
対象となる方
がん遺伝子パネル検査を受けられる方(対象のめやす)
- がんと診断されている方(乳がん・肺がん・大腸がんなど、悪性の固形がんが対象です)。
- 手術で治すことが難しい、または再発している方。
- これまでの標準的な治療を終えた方、またはまもなく終わる見込みの方。
- これまでの治療で取ったがんの組織が残っている方、または新たに生検でがんの一部を取ることができる方。(血液を使う「リキッドバイオプシー」という検査が可能な場合もあります。)
- 体力や全身状態が比較的良い方(目安:日常生活を自分でできる程度)。
- 外来に通って検査の説明や結果を聞くことができる方(初回と約2〜3か月後の結果説明の2回が必要です)。
- 検査結果を国のデータベース(C-CAT)に登録することにご協力いただける方。
- 正式な適格基準は厚生労働省の定める要件に基づき、医師が判断します。
検査の流れ
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主治医が、患者さんへ検査を提案
主治医が検査の適応条件を満たすか判断します。

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検査の説明と同意
検査内容や費用、遺伝情報の扱いについて腫瘍遺伝子外来で説明を行います。

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検体(手術・生検検体または血液)の提出
過去の手術検体や新たな生検検体を用いて解析を行います。組織に解析に十分な遺伝子の量が含まれていない場合は血液でおこないます。

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解析・結果報告
埼玉県立がんセンターで専門家による解析が行われ(当院の主治医、病理医も参加)、結果は当院に返送されます。
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結果説明と治療提案
結果をもとに、主治医が治療法の選択や臨床試験の可能性を説明します。

エキスパートパネル
解析結果を専門家が協議する「エキスパートパネル」は埼玉県立がんセンターで行われますが、当院医師もオンラインで参加し、治療方針の検討に加わります。患者さんの負担を最小限に抑えながら、より精密で個別化された治療の選択を支援します。
遺伝カウンセリング・遺伝性腫瘍への対応
がん遺伝子パネル検査の結果、がんの原因がご家族に遺伝する可能性のあるもの(遺伝性腫瘍)であることが判明する場合があります。当院では、遺伝性腫瘍専門医や認定遺伝カウンセラーなどの専門スタッフが連携し、患者さんやご家族の不安に寄り添い、遺伝に関する正確な情報の提供や心理的なサポート(遺伝カウンセリング)を行う体制を整えています。
費用・保険適用
がん遺伝子パネル検査は、国の定める要件を満たす場合、公的医療保険が適用されます。保険適用となった場合の自己負担額の目安は以下の通りです。
| 検査の段階 | 費用(3割負担の場合の目安) |
|---|---|
| 検査提出時 | 約168,000円 |
| 結果説明時 | 約24,000円 |
| 合計 | 約192,000円 |
- 高額療養費制度の対象となります。実際の費用は、検査の種類やその他の診療内容により異なる場合があります。
がんゲノム医療に関するよくあるご質問
A. がん遺伝子パネル検査を受けても、すべての患者さんに適した治療薬が見つかるわけではありません。遺伝子の変化に合う薬が見つかり、実際の治療に結びつく割合は、全体の10%〜20%程度と言われています。
A. 検体を提出してから結果のご説明までに、通常1〜2ヶ月程度の期間を要します。その間は、主治医と相談しながら現在の治療を継続するか、症状を和らげる治療を行います。
A. まずは現在の主治医の先生にご相談ください。検査の対象となるかどうかを判断し、対象となる場合は当院の腫瘍遺伝子外来への紹介手続き等が行われます。

