放射線治療

放射線治療の特徴

放射線治療は、手術、薬物療法(抗がん剤治療など)と並ぶがん治療の重要な柱の一つです。高エネルギーのX線などをがん病巣部に照射し、がん細胞のDNAにダメージを与えてがんを小さくしたり、消滅させたりすることを目指します。
メスを入れずに治療できるため身体への負担が比較的少なく、臓器の形や機能を温存できる可能性があることが大きな特徴です。そのため、ご高齢の患者さんや、合併症などにより手術が難しい患者さんにも適応となる場合があります。当院では、各専門スタッフが連携し、患者さんお一人おひとりの状態に合わせた安全な治療の提供に努めています。

導入装置と高精度放射線治療
(リニアック・IMRT等)

当院では、医療用直線加速器(リニアック)を導入し、コンピュータ制御による高精度な放射線治療を行っています。

強度変調放射線治療(IMRT)

放射線の強度(量)を細かく変化させながら照射する技術です。がん病巣の複雑な形状に合わせて放射線を集中させることができるため、周囲の正常な臓器へのダメージを極力抑えつつ、がんに対しては十分な放射線を照射することが可能となります。前立腺がんなどで特に有用とされています。

放射線治療の流れ

  1. 診察

    放射線治療専門医が診察を行い、患者さんの状態や各種検査結果をもとに、放射線治療の適応、治療目的、治療方針(照射回数や期間など)を検討し、わかりやすくご説明します。

  2. 治療計画のためのCT撮影

    治療計画を立てるために、実際の治療時と同じ姿勢でCT撮影を行います。照射する位置を毎回正確に合わせるため、必要に応じて専用の固定具を作成し、皮膚に目印となる印を描いたりします。

  3. 治療計画の立案

    撮影した画像をもとに、治療計画専用のコンピュータを使用して、がん病巣に適切な量の放射線があたり、周囲の正常組織への影響が最小限になるような照射計画を綿密に作成します。

  4. 治療開始(毎日の照射)

    計画に基づいて治療を開始します。1回の照射時間は数分程度ですが、位置合わせ等を含めて15〜30分程度かかります。治療中に痛みや熱さを感じることはありません。

  5. 治療中の診察と経過観察

    治療期間中は定期的に医師の診察があり、治療効果や副作用の有無を確認します。副作用への対策や生活上のアドバイスも行いながら、安全に治療を進めます。

主な対象疾患

当院では、様々な部位のがんに対して放射線治療を行っています。根治を目指す治療から、手術前後の再発予防を目的とした補助的な治療まで、患者さんの状態に応じて幅広く対応しています。

  • 肺がん、食道がん、乳がん(乳房温存術後の照射など)
  • 前立腺がん、膀胱がんなどの泌尿器がん
  • 子宮頸がんなどの婦人科がん
  • 頭頸部がん(口腔がん、咽頭がん、喉頭がんなど)
  • 脳腫瘍、消化器がん
  • リンパ腫などの血液腫瘍

緩和的に行う放射線治療

がんが進行したり、他の臓器や骨などに転移したりすることによって生じる様々な「痛み」や「苦痛な症状」を和らげることを目的とした放射線治療です。
例えば、骨転移による強い痛みや、脳転移による神経症状(手足の動かしにくさなど)、がんが気管や血管を圧迫して起こる息苦しさ、腫瘍からの出血などの症状に対して緩和的な効果が期待できます。患者さんがご自宅や病棟で、できる限り自分らしい穏やかな生活(QOL:生活の質の維持・向上)を過ごせるようサポートするための重要な治療法です。

放射線治療に関するよくあるご質問

A. 放射線を照射すること自体に痛みや熱さを感じることはありません。一般的なレントゲンやCT検査を受けるのと同じような感覚で治療を受けていただけます。

A. 放射線があたっている部分の毛のみが影響を受けます。そのため、頭部に放射線を照射しない限り、治療によって髪の毛が抜けることはありません。

A. 基本的には普段通りに生活していただけます。外来通院で仕事を続けながら治療を受ける患者さんも多くいらっしゃいます。ただし、疲労感が出やすくなることがあるため無理は禁物です。また、照射部の皮膚はデリケートになるため、入浴時に強くこすらないなどの注意が必要です。

A. 当院で行っているリニアックを用いた「外部照射(体の外から放射線をあてる治療)」の場合、患者さんの体内に放射線が残ることはなく、体から放射線が出ることもありません。ご家族や小さなお子様とも、普段通り接していただけます。