前立腺がん診療センターについて
近年、国内において前立腺がんが急増しています。前立腺がんは早期に発見できれば完治が可能ですが、進行した状態からの救命は困難な疾患です。早期に診断し適切な治療が必要です。早期診断には前立腺がんの腫瘍マーカーである前立腺特異抗原(PSA)の血液検査のほか、MRI検査を中心にした各種画像診断が行われます。治療は手術、放射線治療、薬物療法を組み合わせて行われます。
当院は手術支援ロボット「ダビンチ」を使用した腹腔鏡手術、強度変調放射線治療、ラジウム‐223療法などを実施できるがん診療連携拠点病院です。
これらの複数の治療手段を適切に活用するためには多職種の連携が欠かせません。前立腺がん診療センターでは、泌尿器科、放射線治療科、放射線診断科、病理診断科が連携し、受診申し込み後の診断から治療までの流れを円滑に行う体制を整備いたしました。
前立腺がん診療センターの
診療上の特徴
前立腺がん診療の経験が豊富な専門医がわかりやすい丁寧な説明を行います。
患者さんの価値観や生活も配慮して個々の患者さんにとって最善の治療選択肢を提供いたします。
ガイドラインに準拠しつつ最新の医療機器による高水準の治療を提供いたします。
泌尿器科、放射線科、整形外科、病理診断科、相談支援担当等の多職種で連携した診療を行います。
前立腺がんとは
前立腺は男性にのみある臓器で、精液の一部をつくる役割を担っています。日本では近年、前立腺がんにかかる方が急増しており、男性のがんの中でも罹患数の多いがんの一つです。
早期の段階では自覚症状がほとんどなく、進行すると骨への転移が起こりやすく、腰痛などの症状が現れることがあります。早期発見・早期治療が重要です。
対象となる疾患
- 検診でPSAが基準値を超えて前立腺がんの疑いがあると診断された方リストが入ります。
- 前立腺がんと診断され手術や放射線治療、薬物療法をご希望の方リストが入ります。
- 治療に迷っている方
- 進行がんと診断され治療困難と判断された方
- その他、多様な病状に対応いたします
- 前立腺肥大症や前立腺炎などのがん以外の良性疾患は前立腺がん診療センターではなく通常の泌尿器科外来をご受診ください。
症状
早期の前立腺がんでは自覚症状がほとんどありません。
進行すると以下のような症状が現れることがあります。
- 頻尿・排尿困難などの排尿症状
- 骨転移による腰痛・骨の痛み
- 血尿 など
症状がなくても、PSA検診を受けることで早期発見につながります。
診断方法
- PSA検査(血液による腫瘍マーカー検査)
- 骨転移による腰痛・骨の痛み
- 血尿 など
PSA値が基準値(一般的に4.0ng/mL)を超えた場合は、さらに詳しい検査を行います。
受診方法
前立腺がん診療センター外来は予約制です。
医療機関からのご紹介により、患者支援センター地域連携担当への直通電話でご予約を承ります。
毎週月曜日午後に外来診療を行います。
お問い合わせ
紹介状について
受診には医療機関からの紹介状が必要ですのでご留意ください。
前立腺がん診療センターでは紹介状なしの診療は承れません。
治療内容・例
手術:ロボット支援下前立腺全摘術
前立腺限局がんを対象として、執刀経験の豊富な医師による新規導入機種ダビンチXi手術支援ロボットを用いた根治的治療を行っています。尿失禁を早く治せる術式、男性機能を温存する術式も行います。ロボット支援前立腺全摘術は術後の痛みが少なく、社会復帰が早いことが特徴です。


ダビンチ

ダビンチ操作の様子
放射線治療:体外照射(IMRT)
当院のリニアック(高エネルギー放射線治療装置)は、IMRT(強度変調放射線治療)をはじめとする高精度な放射線治療を可能にします。
年齢や持病から手術が難しかった方にも、有効な選択肢を提供できます。
がんの形や位置に合わせて放射線を精度良く照射することで、正常な細胞へのダメージを極力抑え、副作用・合併症のリスク軽減に努めます。

リニアック
(高エネルギー放射線治療装置)
薬物療法 : ホルモン療法、新規抗アンドロゲン療法、抗がん剤、遺伝子治療
前立腺がんは男性ホルモンに依存するがんであるため、ホルモン療法によって進行を抑制することができます。ホルモン療法抵抗性の前立腺がんの場合は、新規抗アンドロゲン剤、抗がん剤などを組み合わせて治療を行います。
骨マネージメント : 骨修飾材、ラジウム‐223
ホルモン療法はがん治療関連骨減少症を引き起こし、骨粗鬆症や転倒・骨折の危険性が高くなります。ホルモン療法を行う患者さんには骨折予防を目的とした薬物療法を行っています。
骨転移による痛みのある患者さんには、放射線外照射のほか骨修飾材による骨強化や、ラジウム‐223療法を行っています。
緩和医療
前立腺がんの転移による疼痛を緩和するため、緩和ケアチームと連携し、疼痛緩和・精神心理的緩和等も幅広く実施し、苦痛なく生活が続けられるよう支援いたします。

泌尿器科主任部長 兼 前立腺がん診療センター長
蜂矢 隆彦
